今回紹介したい書籍は上記 『PM プロジェクトマネジメント 改定6版』 になります。
改訂6版 PMプロジェクトマネジメント [ 中嶋 秀隆 ]
「ブログ紹介」ページにも記載しておりますが、私のプロマネ経験年数はおよそ15年となり、ソフトウェア開発企業にて大小さまざまな案件を数十件こなしてきております。
・・・が!会社には開発の標準的な進め方、マネジメント手法など一切なく、年々少~しずつ標準化が進んで来たものの、ほぼ「実戦」で身に付けた知識と経験(と周りの助力)でプロジェクトを乗り切ってきました。
そんな、我流のプロジェクトマネジメントを続けていたあるとき「PMBOK(ピンボック)」というものを知り・・・『ちょっとこれは一度目を通しておこう』と思い手に取ったのがこの本です。
※PMBOK:プロジェクト管理に関するノウハウや手法を体系的にまとめたもの。
「PMBOK」は上記の通り『プロジェクト管理のノウハウや手法を体系立ててまとめたもの』であり『今ではプロジェクトマネジメントの世界標準(事実上の標準)として世界各国に浸透』ということで、これを知ったときは『そんなものがあったの!?(早く教えてよ!!)」という感じで衝撃でしたね!
PMBOKは大規模なプロジェクト(200~300人で3~5年かけて行う規模感)を想定していると言われていますので、正直そのままではしっくりこないところも多くありますが、プロジェクトに対する基本的な手順、考え方については大いに参考にできるという認識を、私は持っています。
本書の内容は見出しの通り「入門」であり、「基礎的な内容をPMBOK基準で説明」されているものになりますが、そこには
「当たり前のことだが、確実に持っておいたほうが良い知識」
・・・がしっかり詰まっていると感じました。
プロジェクトはなぜ うまくいかないのか?
本書は冒頭にて「従来の勘と経験に頼った十人十色のプロジェクトマネジメントの問題点」について取り上げ、「プロジェクトはなぜうまくいかないのか」といった根本的な問いを投げかけるところから始まります。
例としてあげられている、「うまくいかない理由」をいくつか抜粋すると・・
『目的がはっきりしないまま開始する』
『必要な作業がスケジュールに表されていない』
『プロジェクトの全体像と自分の役割がわからない』
『予期しない出来事により影響を受ける』
『顧客から横やりがはいる』
といったものがあげられており・・・炎上していたプロジェクトを思い出すと、いくつも当てはまりますね。
つまりは「うまくいかないプロジェクト」=「必要なプロセス」や「特定の事柄への対処」が抜けているプロジェクト、と言えます。
PMBOKでの『体系化されたノウハウや手法』というのは『基本としてやるべきこと』であり、それが抜けていることでプロジェクトのライフサイクルがうまく回らず、プロジェクトがうまくいかない原因になってしまっている、ということが説明されています。
本書で紹介されている
「プロジェクトマネジメント 標準10のステップ」
本書で参考になった点であり、紹介したい部分が「序章」として置かれている「標準10のステップ」です。
プロジェクトがうまくいかないのは、『悪いサイクルでプロジェクトが回っているから』
では、良いサイクルで進める為に必要なことは何か?というと、
標準的な手法でプロジェクトを進める
まずは基本的なところを確実に守って進めてみましょう、ということですね。
その、標準的な手法をプロジェクトマネジメントの5つの段階、10のステップ、としてまとめています。
すごく当たり前のことが並んでいますが
「あれ・・・
意外にちゃんと出来ていないかも・・・?」
と思い当たる人も多いのではないでしょうか。
私はまさにそうでした!!
それぞれの項目から、当たり前のものを含め特に重要と感じた項目、要素、知識的な内容を抜粋して記載します。
②プロジェクト目標
ステークホルダのニーズ
QCDの優先順位
③ワーク・パッケージ
WBSが全ての基礎
④見積り
作業工数と所要期間
⑤スケジュール
クリティカル・パス
リードとラグ
⑥予算
EVM
⑦リスク
発生確率・影響度マトリックス
⑨実行・コントロール
実績を集める
進捗会議の設定
上記には専門的な用語としては知らなかったものの、なんとなく概念としては理解して実戦でも使っていたものもありました。特にスケジュール部分に多かったですね(クリティカル・パスなどがまさにそう)
リスクマネジメント部分は、自分では出来ているつもりでしたが・・・まさに
正しい方法、標準的な手法では出来ていなかった
部分でした。このあたり非常に参考になりました。
こういった流れで、この「標準10のステップ」に関するそれぞれの説明が各章に展開されていますので、「こういった意味だと思っているけど違うのかな?」「自分のやり方は正しいのだろうか?」といった部分が気になった方は、是非続きを見ていただければと思います。
冒頭に記載しました、
「当たり前のことだが、確実に持っておいたほうが良い知識」
・・・が身に付きますよ!ということでおすすめのプロジェクトマネジメント書籍でした。